『月に歪む夜』

月に歪む夜 (創元推理文庫)

月に歪む夜 (創元推理文庫)


【1972年、大学生のわたしと恋人のダニー、その友人のサイモンは、親元を離れ
サイモンの叔父の家で、三人だけでひと夏を過ごすことになっていた。
だが、海で出会ったトゥルーディーという少女を家に連れ帰ったことで、すべての
歯車が少しずつ、だが確実に狂いはじめる…。
情感豊かな筆致で描く現在と過去、積み重ねられる謎、圧巻のクライマックス―。
大型新人のデビュー長編。 】


本当にデビュー作なの!?と思うほどの筆力でした。
帯に【バーバラ・ヴァイン(ルース・レンデル)の初期作品を髣髴させると
評させた、大型新人の登場】と書いてあり、「なるほど!!」と納得できました。


50代になった主人公・ケイトが、大学時代の過去を振り返る形式。
(最近読む本はこのパターンが多いな…)
若さと自由を持った時代のケイトと、暗い過去を持つ現在のケイトの
変化が重々しく描かれていて、その夏に何が起こり、どんな秘密を抱えて
いるのかが徐々に語られていく流れは、物語の中にどんどん引き込まれます。


英国人作家らしい作風で、主人公の心理描写が上手いです。
レンデルにはおよびませんが、これから期待の作家に間違いなし。


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