『粛清』

粛清

粛清

エストニアの小村に暮らすアリーダは、ソビエト統治時代の行ないのせいで
近隣からいやがらせを受けながらも、家族の土地を守りながら細々と生活している。
ある朝、彼女は家の庭に見知らぬ若い女が倒れているのを発見する。
またいやがらせ?あるいは、最近流行りの盗賊の一味?悩みながらも、アリーダは
衰弱している女を家にあげてしまう。その女はエストニア語を話すロシア人で、
名前をザラといった。
誰かから逃げているようだが、理由ははっきりしない。行動も奇矯だった。
だが、孤独なアリーダは、ザラを家に匿うことに決める。―激動の歴史に翻弄された
ふたりの女の邂逅を描く、フィンランドの新鋭作家の代表作 】


あらすじを見る限り、サスペンス?サイコミステリー?なんて思っていました。
なんとなく『飛蝗の農場』を思い出したので。
けれど、全く予想外の展開で、かなりどっしりとくる小説でした。


ドイツ、ソ連に翻弄されたエストニアの歴史が、そこに生きる人たちの
目線で描かれています。
自分の思う通りにならない粛清された時代を必死に生き抜いてきたアリーダと
より良い生活に憧れ、新たな生き方を求め西側へ旅立ったザラの数奇な運命が
重く、重く語りかけてきます。


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