『紙の月』

紙の月

紙の月

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。
梨花は海外へ逃亡する。彼女は、果たして逃げ切れるのか?あまりにも
スリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代、待望の長篇小説。 】


角田さんの未読本(『ツリーハウス』)を横に置き、新刊のこちらから
手をつけてしまいました。
内容が、角田さんらしいリアルな女性を描いていそうだなと思って。


対岸の彼女』『森に眠る魚』『八日目の蝉』でも、同年代女性の社会問題を
取りあげて、痛々しく切なく表現できるのは彼女の作品の醍醐味でしょう。
若干、他の作品に比べてあっさり感はありますが、らしい作品で面白かったです。


あらすじだけをみると、よくある女性行員の横領事件を取りあげた小説かな
と思ってしまうけれど、それだけではおさまりませんでしたよ!!
主人公・梨花を取り巻く人物たちそれぞれの人間の“業”と、梨花の心情の変化や
月日の流れが上手くクロスしていました。


お金に係わるトラブルって、読んでいるだけなのに恐怖を感じます。
金銭感覚が麻痺してハマりこむのって、意外と簡単で身近なことなのかもと
考えると、誰にでも起こりうることとゾゾっとしました。


ちなみに私の場合、スーパーの鮮魚コーナーのお刺身の値段【盛り合わせ
980円】というのを見かけても、「他の物ないかな〜。」なんてスルー
しちゃうけど、デパ地下で同じ値段のお刺身なんかを見ると、「うわっ!!安ぃ!!
買い♪買い♪」…と、完全に金銭感覚麻痺ですよ(;ω;)
【恐怖のデパ地下マジック】と私は呼んでいます。要注意です!!
(たとえが、小っちゃいな〜。)


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