『エアーズ家の没落』

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

【かつて隆盛を極めながらも、第二次世界大戦終了後まもない今日では、
広壮なハンドレッズ領主館に閉じこもって暮らすエアーズ家の人々。
かねてから彼らと屋敷に憧憬を抱いていたファラデー医師は、往診をきっかけに
知遇を得、次第に親交を深めていく。
その一方、続発する小さな“異変”が、館を不穏な空気で満たしていき・・・。
たくらみに満ちた、ウォーターズ文学最新の傑作登場。】


『夜愁』以来の・・・、待っていました!!ウォーターズの新作です。


静かにじわじわと【繁栄】が【衰退】へと変化していく様が、屋敷の変化と
ともに、読み手にまで重くのしかかってくるようでした。
代々と続く領主一族の豪華な館の様子、生活や人物像が、戦後の情勢や
時代の流れの中に翻弄されていく様子が怖いくらいです。


ゴシック・ロマンスを見せながら、『ねじの回転』や『レベッカ』、
そして『シャイニング』を思わせるストーリー展開に、ウォーターズ作品の
印象にも違和感がありましたが、落ち着く場所はやはり彼女のうまさですね。
『半身』『荊の城』『夜愁』『エアーズ家の没落』と、作品を重ねるごとに
ウォーターズの世界が深まっていくように感じました。


『このミス』の季節に向かって、8〜10月は出版社も上位を狙う作品を出してくる
時期に入っているのでしょうか・・・。
来月には、ディーヴァーの新作が!!
楽しみが続いて嬉しい日々です。


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