『レベッカ』

レベッカ

レベッカ

マンダレーに嫁いだわたしは、大邸宅に死後も君臨する
先妻レベッカの影におののき、家政婦頭の強烈な敵意に打ちのめされる――。
満を持しての新訳は、貴族社会に紛れ込んだ若い女性がパニックに陥り
ながらも成長していく姿を活き活きと伝え、ヒッチコックの名画にはない
真のクライマックスを鮮やかに描く。21世紀の『レベッカ』決定版。】


ヒッチコック映画の印象が強い『レベッカ』ですが、作者ダフネ・デュ・モーリア
生誕100周年を期に新訳となって出版されました。


映画では、亡くなった前妻の影が見え隠れする豪邸と、敵意の視線で幽霊の様に
付きまとう家政婦頭・・・。
モノクロ映画で、幽霊館話のように記憶していました。


原作は、まったく違いました〜。
やっぱり、本はこちらに伝わってくるインパクトがぜんぜん違います。


前妻を亡くし傷心のマキシムと出会った“私”は、歳の差も越えて
再婚し、後妻として貴族の世界へと足を踏み入れる・・・。
私を待っていたのは、誰もが賛美する館【マンダレー】。
沢山の使用人たちの、“私”を評価するような目にとまどい、
内気な性格の為、新しい生活にうまく馴染めない。
そして、誰もが魅了され、賢く美しい前妻【レベッカ】と
比べられ、彼女を超えることは出来ないし、夫も【レベッカ】を
忘れられずにいるのでは・・・と一人思い悩む。
主人公の繊細な心理がドキドキするほど伝わって、各シーンが
薄氷を渡って行くようでした。


最近、『篤姫』を観て、お姫様ってこんな生活だったの?と
興味津々だったので、英国の貴族の生活も興味津々・・・。
とても気になった箇所がこちら・・・
『定時どおり寸時の狂いもなくさっとドアが開いてお茶の支度がはじまる。
銀のお盆、ケトル、雪のように白いテーブルクロス。けっして手順が異なる
ことはない。(略)バターをたっぷり使ったクランペット、三角形のパリッと
したかわいらしい小さなトースト、さっくりと軽い熱々のスコーン。
何をはさんであるのか、謎めいた風味のとてもおいしいサンドイッチ、
特製のジンジャーブレッド。口の中で溶けてしまいそうなエンゼルケーキ、
そしてオレンジピールやレーズンたっぷりのこってりしたケーキ。
おなかをすかした一家を一週間は養えるぐらいあった。
残ったものがどうなるか、わたしはとうとう突き止められず、もったいないと
気に病んだりした。』


昼食と夕食の間のお茶の時間にこれだけ出てくるの〜(゜□゜;)
お茶の時間にお客さまとおしゃべりをして、「おぅ〜ほほほほぉ・・・」とか
する生活か・・・。別世界だ。でも3日くらいなら出来るかな・・・。
話はかなりそれましたが、とても繊細で引き込まれる小説でした。


実は、この本を買う時に悩みました・・・。
とっても素敵な装丁で「欲しい!!」と思ったのですが、
思った以上のお値段でして・・・。
でもこうやって読んでみて、ぜんぜん後悔はしていないのですが・・・、
買って良かったと心から思っているのですが・・・、先月文庫化されました(;´Д`)


みなさんは、お買い得のこちらをどうぞ・・・。

レベッカ (上) (新潮文庫)

レベッカ (上) (新潮文庫)

レベッカ (下) (新潮文庫)

レベッカ (下) (新潮文庫)