『エンジェル』

エンジェル (ランダムハウス講談社文庫)

エンジェル (ランダムハウス講談社文庫)

【舞台は20世紀を迎えようとする英国。
母が経営する食料品店の二階に住むエンジェルは、
貴族の世界に憧れる貧しい少女。
空想の羽をはばたかせて壮大な小説を書いたところ、
大ベストラーになり、16歳で一躍流行作家となる。
富と名声を得たエンジェルは、ある日、貴族の甥で眉目秀麗な
貧乏画家エメスと出会い、結ばれるが・・・。
自立を志す女性が手にした栄光と愛、破滅と没落までの生涯を描いた、
英国の幻の悲劇。】


映画が公開されるので原作を読みました。
去年12月にすでに公開の映画なのですが、我が街では今月上映・・・。
今頃・・・と思いながら、無しよりいいかと。


自分の貧しさを現実と受け止められず、空想の世界では優雅に暮らす
エンジェル。
風変わりで、人の意見は一切聞かず、想像を膨らませ嘘をつく。
もちろん学校では友達にも嫌われ、友人と呼べる人もいない。
この生活に行き詰った時、自分の理想の世界観を小説として書くことに
全精力をかける。


小説は大成功し、生活は一変する。


ただ、性格や不躾さは変わることはなく、思いやりの心は全く持たず、
自分が世界で一番と思う高慢さ・・・。
エンジェルの生き方に圧倒されながら読み続けました。


英国の貴族社会や、ディケンズ風の下層階級を舞台にした小説が
結構好きです。
私の好きな作家サラ・ウォーターズの雰囲気に似ているなと思っていましたら、
彼女はこのエリザベス・テイラー(女優さんではないですよ)の
熱狂的なファンなんですって。なるほど!!