『ステラの遺産』
- 作者: バーバラヴァイン,Barbara Vine,富永和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/03
- メディア: 新書
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彼女の受けもちのひとり、ステラは癌で余命いくばくも
ない老女である。
ある日、ステラ宛てに彼女名義の家の権利書が届く。
ステラはその家の存在を子供にまでひた隠しにしていたのだが、
その理由を話すため、ジュネヴィーヴだけに自分の過去を
打ち明けるようになる。
結婚に満足できなかったこと、不倫をしていたことなどなど。
そしてその話は必ず秘密の家に収斂していく。
その家でいったい何があったのか?
ジュネヴィーヴは、やがて恐ろしい疑念に捕らわれていく・・・。】
ルース・レンデルの別名義、バーバラ・ヴァインの作品です。
レンデル作品では、狂気の世界やハラハラの心理描写が魅力の一つ
ですが、ヴァインの作品では女性の心情を細かく丁寧に綴った
作品と書き分けているように思います。
一人称で語られていくステラの過去と、その話を聞くジュネヴィーヴ。
時代背景は違えど、いつの時代にもある女性の感じるむなしさや、
切なさが交差しながら語られていきます。
そしてジュネヴィーヴは、ひた隠しにされていたステラの
過去を知ることになるのです。
ラストで結ばれるステラとジュネヴィーヴの運命は、さすがと
うなりました。