『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』

裁判長! ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

裁判長! ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

【ワイドショーも小説もぶっとぶほどリアルで面白いのがナマの裁判だ。
しかもタダで誰でも傍聴できる。殺人、DV、詐欺、強姦・・・。
突っ込みどころ満載の弁明や外見からは想像できない性癖、傍聴席の
女子高生にハッスルする裁判官。
「こいつ、絶対やってるよ!」と心の中で叫びつつ足繁く通った
傑作裁判傍聴記。】


裁判ウォッチャーの作者が見た裁判の内情・・・。
テレビや新聞で扱う事件って、ほんの一部に過ぎないんですよね・・・。
巷は事件であふれていて、その事件1つ1つに裁判があることを
忘れてしまいそうな最近のこの世の中。


裁判って、関係者だけしか傍聴できないものと思っていましたが、
じつは誰でも見ることが出来るんですよね〜。
そんな私も、3年前くらいに一度裁判を傍聴したことがあります。
学校のPTAの研修の一環で【裁判所見学】なるものに参加しました。


事件は、バスジャック事件!!
重大で派手な事件でしたが、血なまぐさい事件ではなかったので、
ちょっと安心して裁判所に向かいました。


テレビでよく見る法廷に入ると、やっぱり緊張しますね〜。
お母さん軍団がいたので、記者さん達も「何事??」って顔で見ています。
きょろ、きょろ、こっちが、検察、こっちが弁護士さんね・・・。
裁判官の方が入廷して、全員起立です!!「えっ、私もね。」
そして、被告が刑務官に連れられて入ってきました。
小柄なおじさんで、どこの町のどこにでもいそうな、普通のおじさんでした。
手錠をされ、ヒモでつながれています・・・。惨めです(;Д;)
その時「見に来なきゃよかったかな〜。」と初めて嫌な気持ちになりました。


検察官が事件の内容を読み上げます。
ものすごい長文を、ものすごい速さで読みます!!
ぺらぺーらのぺらぺーらで・・・、絶対、国語の音読が得意だったろうな〜と
感心してしまいました。


『被告は、○年○月○日、○○町から○○バス会社の○○行きのバスに乗り、
バス運転手○○の背中に、持っていたラクガンを押し付け「○○へ行け!!」と
強要した。』と事件発生当時の様子を生々しく話し始めました。


へぇ〜、こんな普通のおじさんが、そんな怖いことをしたのか〜(>_<)
どこでそんな凶器を手に入れたんだろう?
ラクガンって、ボウガンみたいなもの?あっ、スタンガン系か・・・。
おじさんのわりに洒落た凶器だな・・・。武器の専門用語はよくわからん。
周りの雰囲気にのまれながら、しばらく真剣に考えていました。
少し時間が経つうちに・・・、
「まてよ、事件発生の季節はお盆・・・、ラクガンって・・・、
砂糖菓子の【らくがん】かい!!」
てな落ちとなりました・・・(+Д+)ありゃりゃ・・・。
運転手さんも、【らくがん】とは知らず、さぞ怖かったろ〜に。


それがわかったとたんに、なんだかタダの人騒がせだけな事件に
思えてきて、緊張感もしぼんでしまいました。
お酒を飲んで、周りに何かを言われ、面白くなくなって犯行に至った
らしいです。
でも、最終的に動機がいまひとつわからず、裁判官の方も含めて
みなさん(?_?)こんな感じでした。


裁判官さんも「で、○○(目的地)まで行かせて、どうしたかったの?」って
聞いていたけど、本人も(?_?)こんな感じ・・・。


あ〜あ、こんなことに税金使っているのね〜。


前出、この本は『この事件が面白い!!』『これは退屈!!』って書き方をしていて、
被害者や家族を思うと、ちょっと不謹慎かなと感じますが、
裁判は大きい事件だけじゃ無いってことを教えてくれるし、
2009年頃から裁判員制度も始まり、いつ自分が裁判所へ行くか
わかりません。ですから、とても参考になる本だと思います。
ラクガンおじさん】の事件もあれば、聞きたくも無いような悲惨な事件も
あります。
人がヒモでつながれているのを見るだけでも、とってもいい気分ではありません。


裁判が終わって、他の方達と意見交換。
さすがに、【ラクガン】には皆さんずっこけたらしい。
「馬鹿な事件を起こしたけど、身体的な不自由さがあったり、人付き合いが
出来なかったり、情状酌量なところもあるから、執行猶予付きの判決だね!!」
「でも、前にも事件を起こしているから、1回刑務所で反省したほうが
いいかも!!」
などなど、お母様達も盛り上がっていましたよ。


で、結局、刑務所には入らなかったはずの、おじさん・・・。


が、その後、別の事件でまた逮捕されたらしい、おじさん・・・。
「ちょっと、可哀想・・・。」と優しい気持ちでいた私は、裁判員制度には
参加できません(;_;)無理です。