『灰色の女』
- 作者: A.M.ウィリアムスン,A.M. Williamson,中島賢二
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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【アモリー家に伝わる由緒ある屋敷、ローン・アベイ館。
一族ゆかりの屋敷を下見に来たテレンスは、屋敷の時計塔で
謎の美女コンスエロと出会う。婚約者ポーラよりもコンスエロの
美しさに惹かれるテレンス。だが、それは次々と起こる奇怪な
出来事の幕開けだった…。
黒岩涙香が翻案し、その後、江戸川乱歩がリライトした傑作『幽霊塔』の
原作をついに邦訳。 】
江戸川乱歩は、黒岩涙香の翻案本の影響を受けたといわれています。
特に、子どもの頃の乱歩が夢中になって読んだといわれる涙香の『幽霊塔』。
小説家になった乱歩はこの『幽霊塔』を自分流にリライトしています。
乱歩はさらに少年向けに『時計塔の秘密』として出版。
はい、こちら↓
涙香が翻案(翻訳)した作品の中で、人気がありながら長い間
原作本がわからなかった作品が『幽霊塔』です。
見つからなかった原作が、1980年代になってから『幽霊塔』に似た
映画の発見をきっかけに、ウィリアムスンの『灰色の女』であることが
わかったのです。
しかし、約百年前の埋もれた作品『灰色の女』の原本はなかなか
見つからず、発見から二十数年の時を経て奇跡の邦訳となりました!!
読み始めてわかった事は、乱歩の原点はここだったのか!!ということ。
時計塔のからくり・謎の美女・首なし死体・秘密の通路・鬼気迫る脱出劇・
猟奇的な館の正体・暗号の先に隠された秘宝・・・などなど。
乱歩の小説には欠かせないものばかり・・・。
謎から謎の展開や、時代背景、古典探偵小説にある語り口調が、
ワクワクものの小説でした。
涙香・乱歩作品と合わせて読み比べてみるのも楽しそう♪