『煙で描いた肖像画』

煙で描いた肖像画 (創元推理文庫)

煙で描いた肖像画 (創元推理文庫)

【ある日、偶然に見つけた思い出の少女の写真。
彼女は今どうしているのだろうか?
そのちょっとした好奇心はいつしか憑かれたような思いに変わり、
ダニーはわずかな手掛かりを追って彼女の足跡を辿り始める。
この青年の物語と交互に語られていくのは、ある悪女の物語。
二人の軌跡が交わるとき、どんな運命が待ち受けて
いるのだろうか?サスペンスの魔術師の代表作がついに登場。 】


ビル・S・バリンジャーの『歯と爪』が気になっていたところ、
『煙で・・・』が東京創元社の【悪女たちの共演】なるフェアの
1冊だったのでこちらから読んでみました。
悪女のミステリー・・・好きです。


ただ一度だけ浜辺で見かけた美しい少女。
10年後、偶然、新聞記事にその少女を発見したダニー。
彼女は、今、どこで、何をしているのだろうか・・・。
探すダニーの【章】と、その少女クラッシーが、その時どう生きて
きたのかという【章】が交互に語られていく構成。
1950年代の作品なので当時としては斬新なものだった
と思います。
着々と冨の階段をのぼり続けるクラッシーの様子と、
憧れの気持ちで、必死で探すダニーの様子がカットバックされ、
この小説の面白さを更に高めたと感じました。